情報を正しく分析するには...
2008.08.23 Sat
人は自分に都合の良い話を重視したり、経験が邪魔して誤った先入観に縛られやすいために、様々な情報に振り回されて失敗することが多いですよね。まさに、自分もそういう失敗を繰り返してます。ということで、少しでもそんな過ちをしないためにオススメという一冊を読みました。
「仕事に役立つインテリジェンス」(著・北岡元、PHP新書)
外務省出身で、日本のインテリジェンス研究の第一人者が書いた、判断力養成ハンドブック。さて、どれだけ役に立ちそうでしょうか?
人間誰しも、物事を見る際には、その人ならではのバイアスがかかってしまいます。全くのまっさらな状態で物事を見ることはできません。下記の3つのバイアスは、自分で意識することによって、判断の誤りを防ぐことができます。
・文化的・宗教的バックグラウンドによって生じるバイアス、
・ある組織の一員であることから生じるバイアス、
・利害関係によって生じるバイアス
一方、自分では意識できないバイアスがあります。それを引き起こすのが「ヒューリスティクス」(=判断や評価に至る思考のショートカットのこと)です。この本では5つにわけて紹介しています。
1)典型のヒューリスティクス:一方が他方の典型であったり、似ていたりすると、両者を短絡的に結びつけてしまう
2)利用可能性のヒューリスティクス:無意識のうちに思い出しやすいもの、、つまり利用しやすいものを重視してしまう
3)因果関係のヒューリスティクス:物事には必ず因果関係があると思い込んでしまう
4)修正のヒューリスティクス:無意識のうちに、とりあえずの結論を出してしまい、そののちにそれを徐々に修正する
アンカリングのヒューリスティクス:とりあえずの結論がアンカー(錨)のようになってしまい、あとでいろいろなインフォメーションが与えられても充分に修正できない
5)後知恵のヒューリスティクス:過去に起こった出来事を振り返るときに、あれは自分がきちんと予測していたと無意識のうちに思い込んでしまう
これらのバイアスを克服するのに有用なのが、冷静な分析です。この本ではいくつか紹介しています。
・ベイズの定理:わずか一つか二つの例に基づいて、未来の出来事を予測すること。事前確率を組み合わせることで、わずかな情報のブレで判断が大きくぶれることを防ぐ
・競合仮説分析:整合しないインフォメーションが多い仮説を少しずつ減らし、整合しないものが少ない仮説にしぼりこんでいくこと
・リンチピン分析:前提と仮説を区別すること。リンチピンとは、車軸の両端に打ち込む楔のことです。
バイアスを取り除き、直感を大切にしながらも、冷静に分析を進める。結局はバランス感覚が大切、という至極当然の結論になっていました。方法論がいろいろと出てきてためになる本ですが、分析例が国家間の紛争だったところが残念。これが、占いとか、スポーツの分析とか、セールスマンの売り文句の判断とか、そういうわかりやすい例を出してくれれば、もっと面白くなったのに。

