鮨好きは必読!
2008.07.07 Mon
鮨好き必読の書を発見しました! 読むだけで、間違いなく、その鮨が食べたくなります。しかも、写真が美しい。文庫本ですけど。
「すきやばし次郎 旬を握る」著・里見真三 文春文庫
いま、当代一の鮨職人、「すきやばし次郎」の大将、小野二郎さんの一年間の仕事をもれなく残した、鮨の歳時記です。それだけでなく、材料の選び方、仕込みの方法など、職人のこだわりがふんだんに盛り込まれてます。たとえば...
・「握りの横綱」はコハダ。振り塩や酢締めの加減によっては、喉がキュッと鳴るほどおいしくなる。
・温かい季節の白身は、常磐のマコガレイに限る。「白身の王様」と呼ばれる星ガレイは身の締まりが早すぎて尻尾から白くなってしまう。
・鯛は握らない。品質の良い瀬戸内の鯛は、東京には安定的に供給されないから。
とにかく、季節と旬の魚の獲れる場所、特徴の分析が細かくて面白い。プロの見立てがわかりやすく書いてあります。季節ごとに読み直して、頭に入れてから鮨を食べにいけば、味わい方も変わるはず。
お店との付き合い方では、参考になることも。
・顔なじみにならないと出てこないネタがある。いいネタが入ったときに客の好みに合わせて取っておくことがある。旨いものを食べたければ常連になるべし。
・来てほしい客と来てほしくない客がいる。好きなだけ大騒ぎして、世の中に俺よりか偉い人間はいないみたいな能書きをさんざん言う長っ尻のお客さんは、料金が高くなる。
・特に軍艦や巻物は出したらすぐに食べてくれないと困る。例えば、ウニの軍艦巻きなら、ウニが溶け出して、シャリがペシャッとして、海苔が食い切りにくくなってしまう。
さらに驚くべきなのは、仕込みのすべてのプロセスを写真で掲載されていることです。これを真似したら、「すきやばし次郎」はやっていけなくなるのではないか、といぶかりたくなるほどです。ところが、大将は、こういうのです。
『鮨の味は仕込みの工程の最後に踏み出す「千里の一歩」で違います。ですから、ここで公開したプロセスを徹頭徹尾再現しても、絶対同じ味になるはずがない』
これぞ、職人のプライド。「ついて来られる者はついて来い」と言わんばかりです。鮨ネタを詳しく知る上で、とてもいい勉強になるし、読み物としても面白いです。今度鮨を食べに行くまでに、夏のコーナーだけでもしっかり覚えようっと。

