「出世」は、どのようにして進むの?
2008.06.26 Thu
サラリーマンとして知りたいことのひとつは、出世にはどのようなメカニズムが働くのか、ということ。同じ企業で働き続けるかぎり、そのからくりを知っていれば、立ち回り方が変わってきますよね。
『「出世」のメカニズム』 著・日置弘一郎 講談社選書メチエ
タイトルを見る限り、この本は、その疑問にまっすぐに答えてくれそうな感じがします。ところが、実際には<ジフの法則>を、企業社会における出世の仕組みにあてはめてみようとして、書かれた考察の数々です。
<ジフの法則>とは「出現頻度がn番目の単語は、出現頻度が一番目の単語のn分の1の確率で現れる」ということ。確率分布の法則です。
企業内で顕在化した能力の分布は、このジフの法則で現れる分布と同じだと主張するのです。そのうえで、顕在化した能力は、さらにフィードバックを受ける(能力が磨かれる)ことで、会社に貢献し、出世につながる、というわけです。格差社会の成立に置き換えれば、一度「勝ち組」に入ると、お金や情報の流れが良くなるために、さらに勝ち続けることができる、というわけです。
問題は、何をきっかけにどういうジフ構造ができるかわからないこと。そうして出来上がった構造が一度確定すると、序列を崩すのが難しいということ。となると、どうすればその序列を壊すことができるのか。そこまでの説明はありませんでした。そうやって考えると、格差社会にハマってしまった人間が抜け出すのは大変だということがよくわかります。
「出世」というテーマに戻して言えば、人事異動や転職のタイミングで、出来上がった構造を崩し、自分が発揮できる能力を出せる組織に移らないと、サラリーマンにとって能力を披露する場面がなくなってしまいます。
面白いと思ったのは、カーネギーの「自信を持てば成功する」というタイプの啓蒙書が、集団内でジフ構造が成立しないときだけに有効、という説明。いま、成功のための勉強本が数多く出されています(自分もたまに読みます)が、日本の企業社会で成立させるには、それなりのアレンジが必要そうなことが想像できます。
結局は、仮説をあてはめようとした話なので、サラリーマンにとっては、ちょっと難しい内容。会社の人事よりも、他の事例の方が面白くあてはめられそうです。例えば、お笑い芸人の出演回数は、ジフの法則によって説明できそうだし、巨人の大型補強がうまくいかない理由も説明できそうな気がします。

