パレルモ・マッシモ劇場日本公演@滋賀・びわ湖ホール
2007.06.23 Sat
イタリア南部、シチリア島のパレルモにあるマッシモ劇場は、パリのオペラ座、ウィーンの国立歌劇場に次いで、ヨーロッパで3番目の大きさを誇る名門オペラ劇場です。その初来日公演、しかも初日のプラチナチケットを、友人のおかげで得ることができました。自分はオペラには詳しくないのですが、好奇心だけはあるもので、事前に予習をしたうえで、喜び勇んで行ってきました。

事前の予習として、公式サイトや雑誌の記事に眼を通し、ゴッドファーザーをPART1からPART3まで通して観ました。特に、マッシモ劇場正面の階段で悲劇のラストシーンを迎えるPART3は、コッポラ監督の音声解説も聞きました。PART3はこの日の演目「カヴァレリア・ルスティカーナ」と深くシンクロしていて、特に間奏曲は主人公の悲劇性を表現する楽曲として使われています。その悲しげで美しい旋律を生で聴けるのが楽しみです。

会場となったびわ湖ホールは、1998年にオープンした西日本初の四面舞台が大きな特長です。今回の公演では本領発揮、というところでしょう。大ホールの客席入口の反対側は湖が面していて、湖の美しい風景が楽しめます。ちょうどこの日は気持ちよい青空が広がっていて、クリアな景色が広がりました。逆にそれが、この日の濃い演目とは対照的な感じでした。
初日の演目は「カヴァレリア・ルスティカーナ」と「道化師」。いずれもシチリア島を舞台にした名作オペラで、所要時間がそれぞれ70分、75分と短いことから、セットで上演されることが多いそうです。あらすじはこんな感じ。
「カヴァレリア・ルスティカーナ」
復活祭の朝、兵役帰りのトゥリッドゥが、かつての恋人で美しい人妻のローラのことが忘れられず逢い引きを重ねていることを、現在の婚約者サントゥッツァに知られ、ローラの夫アルフィオに告げ口されてしまう。(ここで間奏曲)教会のミサが終わって、アルフィオはトゥリッドゥの勧める酒を断り、決闘を申し込み、いったん別れる。トゥリッドゥは母に「もし自分が死んだら、サントゥッツアを頼む」と言い残して立ち去ると、しばらくして「トゥリッドゥさんが殺された!』という女の叫び声が響き、幕となる。
「道化師」
旅芸人の一座が、座長カニオを先頭にモンタルト村にやってきて、「今夜23時から忘れずに芝居を観にきてくれ」と宣伝したあと、村の男たちと一杯飲みにいく。その隙に、美しい妻ネッダに、せむしのトニオが告白するが、鞭で追い払われてしまう。続いて、村の青年シルヴィオがやってくる。ネッダとシルヴィオは一座が村に公演に来る度に逢瀬を重ねていた。それを発見したトニオは仕返しとばかりにカニオを呼び寄せる。ネッダがシルヴィオに「今夜からわたしはあんたのもの」と言うのを見たカニオは逆上、シルヴィオは慌てて逃げ出す。カニオはネッダに「男の名前を言え!」と激しく迫るが、ネッダは口を割らない。部下に芝居の支度を促され、引き下がるカニオ。怒りも悲しみも隠して道化芝居をしなければならない役者の悲哀を歌う。
第二幕では、さっきまで起きていたことと同じような役まわりで芝居が進行する。芝居の中で、ネッダが情夫に「今夜からわたしはあんたのもの」というセリフを言うと、カニオが芝居と現実の見境がつかなくなり、「男の名前を言え!」とネッダに激しく迫る。観客は「迫真の演技だ!」と喝采するが、カニオは「俺はもう道化師ではない」と言って、ネッダを刺し殺し、助けようと舞台に上がったシルヴィオも殺害してしまう。大混乱の中、カニオが「芝居はこれでおしまいです」とつぶやいて、幕。

どちらの演目も、恋の情熱、嫉妬と憎悪の激しさ、血なまぐささ、男たちのプライドの高さ、女たちの積極的な恋のかけひき...実に南イタリアらしい感じがしました。ああいう激しさは日本人からは生まれないですね〜。なんとも濃い舞台でした。イタリアの赤いブラッディオレンジジュースのようです。昼よりは夜に観たかった...
オーケストラの音が繊細で清らかで美しかったこと(特に「カヴァレリア・ルスティカーナ」の間奏曲は想像以上でした)、恰幅の良い出演者が多く、力強く通った声、怒りの表現に迫力があったこと、が印象に残りました。あと「道化師」で京都の小学生を制服姿のまま舞台に上げていたのが、気の利いたユニークな演出でした。有名アーティストの来日公演にありがちな、手抜き感がなかったのが、何よりもよかったです。
なにせチケット代が凄い。今回はS席で4万2000円。出演者、指揮者、オーケストラ、裏方(大道具、小道具、衣裳、メイク、照明などなど)など、連れてくる人数が多いのだから当然かもしれませんが、日本のオペラファンは大変です。でも、真剣に予習することで、イタリアの文化をしっかりと味わう貴重な機会となりました。帰りは、京野菜イタリアンでしっかりと締めました。
















